心を全部奪って

『ごめんなさい。

今日、用事が出来ちゃった』


『どうした?』


『飲み会が入ったの。

霧島さんの歓迎会だって』


『あーそうか。

それじゃあ仕方ないね』


『会いたかったのに』


『またすぐ会えるよ。

来週必ず行くから。

それまで待てる?』


『さみしいけど待ってる』


『休みの日もメッセージするから』


『うん。楽しみにしてる』


『じゃあ、午後からも仕事頑張れよ』


『ありがとう。工藤さんも』


お昼休みの午後の仕事が始まるまでの数分間。


自分の席でこっそり工藤さんとメッセージのやりとりをした。


今も同じフロアにいるはずだけど。


秘密の関係だから、こうして連絡を取るしかない。


あーあ。


今夜、楽しみにしてたのにな。


工藤さんの好きなしょうが焼きを作るつもりだったのに。


でも、こればっかりはどうしようもない。


歓迎会に参加しないわけにはいかないものね…。


思わず、はぁとため息が漏れる私だった。