心を全部奪って

あんたを初めて見た時、


なんだかすごく不思議な感覚だった。


食堂にはあれだけの人がいるのに、


なぜかあんただけがスロー映像に見えるんだ。


そこだけスポットライトが当たったみたいに。


俺はすっかり目を奪われて、身動きすらとれなかった。


それ以来、あんたがすげー気になって気になって。


それから一週間もしないうちだった。


朝の通勤電車の中で偶然あんたを見かけたんだ。


それが数日続いたから、これはもう確実に同じ路線を使ってるんだなって。


しかも、駅が3つしか違わないこともわかって、すげー嬉しかったよ。


だけど…。


第一営業部と第二営業部は階も違うし、知り合うチャンスが全くない。


いつも同じ車両に乗るのに、話しかけるきっかけもなくて。


ーである時、ハッと思い付いたんだ。


そうだ、俺が仕事を頑張ればいいんだって。


営業成績を上げて、上司に認めてもらえたら、


第一営業部に異動させてもらえるかもしれない。


だから面談の時にも、第一営業部に行きたいって上司に猛アピールしたんだ。


それから俺は、鬼のように仕事をしたよ。