「あーあ、こりゃ当分駄目だな~」
 携帯電話を床に投げ出し、アキラは自らも、そのフローリングの床に仰向けに倒れこんだ。
 そろそろ律子の機嫌も直ったかと、様子伺いに電話を入れたのだが、紅葉に心配をかけさせたことが更に律子を怒らせたらしい。
 頭ごなしに説教され、電話を一方的にきられてしまった。
「アキラ!お昼にするよ」
 階段の下から、二階の自室にいるアキラを母親が呼ぶ声がする。
「はいよ」
 アキラはのそりと体をおこし、台所へ向かう。
 台所のテーブルには、オムライスが二皿並べられ、母親がコップに麦茶を注いでる最中だ。
「ったく。いい歳した男が昼までゴロゴロして、そりゃ律子さんに愛想つかされても仕様がないわ」
「うるせーな。そんなんじゃねぇよ」
 実家へ戻ってきた詳細は母親には告げていない。だが、アキラに非があるらしいことは、感付いてるようだ。