「ねぇ、タク」


「…あ?」


「私のメイクポーチ知らない?」


乱華の倉庫の幹部部屋。
学校帰りにいつもの如く倉庫に来た私は、そこのソファーに座って学校の鞄を漁る。



…と言っても普段から携帯と財布くらいしか入ってないから、漁るも何もないんだけど。
もう鞄の底は見えているし、メイクポーチが入っていないのは歴然だ。



「知らねーよ。そもそもなんで俺がお前のメイクポーチの居場所知ってんだよ?知るわけねーだろバカが」




タクは向かいのソファーにふてぶてしく座り、天井を仰ぎ見ながらさも面倒くさそうにタバコの煙を吐き出しながら言う。


なんでそんな偉そうなのよ、あんたは。




「はぁ?ただ聞いただけで、なんでそこまで言われなきゃなんねーんだよ。てか何?その気だるげな感じ。カッコイイとでも思ってんの?タクこそバカじゃね?」



「…おい、お前その口の聞き方どうにかしろや」


ピクリ片眉をあげてこっちを鋭い視線で見るタク。威嚇してるつもりか。
別にタクの睨みとか怖くねーし。



「その言葉そっくりそのまま返しますけど!?」


「は?俺はこのままでいーんだよ!なぜなら俺だから」


「意味わかんないんですけど!?」


謎の理論を展開したタクは私を小馬鹿にしたように鼻でハッと鼻で笑う。