「あ、また赤くなった」





爽は小さく笑うと私から離れてソファーに向かった。





私は包丁を置いて、ブラウスのボタンを閉めていった。





そっとブラウスの上からその赤いあざを触れてみる。





なぜかそこだけ熱く感じた。





なんで、こんなに胸がドキドキするだろ……。





たしか、前に読んでた恋愛小説は、こんな気持ちのことを……。





「『恋』?」





小さく呟いて、私ははっとした。





私……爽に、恋、してるんだ。





この気持ちを『恋』っていうんだ。





私は思わず、爽の背中を見つめた。