「見てくださいよ、すみれ様ですわ」






「今日もお美しいですわ」









すぐ脇を通った女子たちがそう話すのが耳に入る。








美しい?









私は、心なかでそう呟いた。










表面上はね。








「それでですねっ……」









目の前の香水のきつい女子がそう言って、身を乗り出した。








私も続けて微笑む。









私が、実は、こんな性格だと言うことを……普通の女子高生と同じだと言うことは、親友の美帆以外、この学園で知ってる者は誰もいない。








『うちの娘なんだから、きちんとした女性になりなさい。』










何度も言われてきた、父の言葉。










それにならって、私は、ずっと完璧な少女を演じてきた。