「お…ねがい!思い出させて!私の忘れた人を!あなたなんかじゃないわ!私の忘れた人は……他にいるんでしょ?」

私は誰を忘れてるの?

思い出したい。

思い出したいよ。

「野田さん。思い出せば不幸になるよ?このままの方がいいんじゃないかな。まだ間に合う。今なら、もう一度。」


「いや!嫌だ!

思い出したら不幸になるかどうかは私にはわからないけど、

けど、思い出さないといけないの!

思い出さないと、いけないって!私は思うのよ!」

お届け屋さんは悲しそうに笑った。

笑っているのに、泣いてるみたい。

笑ってるみたいだけど、目の奥は泣いてる。