「捜索願?」




あたしは飲み終えたピーチジュースの缶をテーブルに置いて、哲哉さんへと顔を向けた。




「うん、捜索願。もしかしたらルリちゃんの家族が警察に届けているかもしれないでしょ。まぁ、事件性がなければ基本は情報非公開だから可能性は低いけど、ね」




そっか、捜索願か……。


もしかしたら家族に会えるかもしれない?



何か哲哉さんってしっかりしていて、頭もいいかも。



缶ジュースをテーブルに置いた哲哉さんは、立ち上がりさっき手に持っていた紙袋の前まで歩いていった。


そして、それを手に取るとあたしの前に差し出してきた。




「ってわけで、はいっ、プレゼント!」




えっ? プレゼント?


キョトンとするあたしなんてお構いなしに、袋の中身を取り出しはじめる。



服……服……服…………


ってあれっ? 服ばっかり?




「どうしたんですか、これ?」



「外行くのにいるかなぁって思って。ルリちゃんの好み分からないし、いっぱい買っちゃった!」




ペロッと舌を出して悪戯っぽく言う哲哉さん。




「でも、お金……」



「俺彼女いないから使う場所なくて可哀想でしょ? ルリちゃんもらってよ、返品不可で!」




哲哉さん、何でそこまであたしに優しくしてくれるの……?



もらった服をギュッと抱え込み、俯いたままあたしは呟いた。




「ありがとう」