自分の気持ちに気付いて、初めて哲哉さんと顔を合わすんだ。


どんな顔して会えばいいの?


急に意識してきて顔は熱くなってくるし、心臓が飛び出しそうなほど鳴っている。



――なのに、心の準備もできていないまま、突然家のチャイムが鳴った。


体を起こして無駄に部屋の中を歩き回る。


そうこうしているうちにもう一度チャイムが鳴り、あたしは大きく深呼吸して少しずつ玄関へと歩いていく。




「哲哉さん……」




覗き穴から確認した姿は、あたしが会いたくて会いたくてたまらなかった人。


どんな顔して会えばいいとか、何を言ったらいいとか、頭で考えるより先に体が動いていた。



勢いよく開いたドアに少し驚いた表情を見せる哲哉さん。




「ちょっと、ルリ……どうしたの!?」




あたしの頭上で困惑した声を発する哲哉さん。


……帰ってきたんだ。

会いたかった。



抑えきれない感情に、あたしはドアを開けてすぐ哲哉さんの胸に飛び込んでいたんだ。


温もりが気持ち良くて、背中に腕を回してギュッと抱きつく。


好き、哲哉さんが……好き。




もしかしたら、あたしと哲哉さんは過去に何らかの関わりがあったのかもしれない。



ただ今だけは、そんなことを考えずに哲哉さんの温もりをいつまでも感じていたい。



そう願った……。










 第3章【孤独と独占欲編】end.....