7月7日 日曜日――。




「ごめんね、本当に大丈夫?」


「仕事だから仕方ないよ」


「一緒に連れて行きたいんだけど……。俺も知らない土地だから余計に心配だし、それならこっちのほうがいいかと思って……」




不安な顔を向ける哲哉さんに思いっきり笑顔を向ける。


日に日に作り笑いが得意になっていくあたし。


何でもないような振りして平然を装って、いい子を演じてしまう。



昨日もそうだった……。


海に着いた時、哲哉さんの携帯にかかってきていたのは仕事の電話だったらしい。


突然の出張が入って、今日から3日間。



もちろん仕事だから断れるわけもないだろうし、あたしをその場に連れて行くなんてこともありえない。


帰りの車の中で出張のことを教えてくれた哲哉さんは、こう続けたんだ。




「明日から突然出張って言われてさ。その間……ルリに何かあっても駆けつけることもできないし、だから……いつも以上にちょっとしたことが不安になったんだと思う」




あたしよりつらそうな顔をする哲哉さんを見ていたら、何だか胸が苦しくなってつらくて……。


だからあたしは、明るく努めたんだ。


大丈夫だよって。