現実は小説よりきなり








それから数分後、視聴覚室のドアは壊れるのか?ってぐらいの音立てて開かれる事になる。



バタン...豪快な音だし。

壁にぶつかるほどの勢いで開ける必要あった?


美樹と顔を見合わせてドアへと顔を向けると、そこには険しい表情の古沢君が立っていて。


ねぇ?美樹、古沢君とどんなに話したのかな?


彼、完全に怒ってるよね?

古沢君はピリピリする空気を纏ってる。



「連絡、遅せぇ」

そう言いながらズンズンと音がなりそうなほどに大股でこっちへやって来る古沢君は、美樹を若干睨んでて。


「そんなこと言っても嵐ちゃんを説得するの大変なんだよ」

不服そうに頬を膨らませた美樹は古沢君を睨み返す。


「...はぁ.まあ良い。これから守れるんなら」

走ってきたのか少しだけ乱れてた髪をかき揚げながら、私の前に立って私を見下ろす。


「嵐、俺が守る」

迷いのない瞳にドキッと胸が跳ねる。


でも、守ってもらうつもりはないんだよね?

抑止力にはなってもらうつもりではいたけど。


「...あ..守ってもらうのは..」

違う気がする。


「お前の意見は聞かねぇ。今までイラつきながら見て見ぬふりしてたんだ。もう我慢ならねぇ」

鋭い瞳に釘付けられた。


「...っ..」

ヤバい、体動かないんですけど。

古沢君の妖艶な瞳は魂を持ってかれそうになる。


って言うか、知ってたの?

私への嫌がらせの事。


頭の中でグルグル色んな思いが回る。




「あ~もう!バラしちゃダメじゃん。琉希也のバカ」

はぁ、と大きな溜め息をつきながら自分の額に手を当てて頭を左右に振った美樹。


えっ?どういう事?

美樹....。


古沢君から美樹へと視線を向ける。


美樹はバツが悪そうにエヘヘと苦笑いすると、


「ごめん。本当はもっと前から知ってたの。嵐ちゃんが嫌がらせにあってるの。嵐ちゃんから相談してくれるの待ってたんだけど、一向に言ってくれないから...。琉希也が痺れを切らしちゃって今に至ります」

と説明してくれた。

申し訳なさそうな顔をする美樹に何かを言うつもりにはならなかった。


「...あ、そっか。余計な気を使わせちゃってごめんね?」

眞由美と可奈以外には知られてないと思ってたんだけどなぁ。

ここの所、嫌がらせも派手になってきてたしね。

皆の知るところになったんだろうなぁ。