現実は小説よりきなり








「琉希也にも言って、犯人探ししよう。嵐ちゃんの身にこれ以上危険が迫るのは嫌よ」

本気で心配してくれてる美樹には申し訳ないけど、古沢君が出てくると余計にややこしくなりそうなのよね。


「...あ..でも」

眞由美や可奈には言ってないけど、ここ二、三日手紙が届いてるのよね。


それも古沢君に近付くな!みたいなやつ。


挨拶以外は特に親しくもしてないのに、そこんところ不思議なのよね。



「何か...あるの?もしかして、琉希也がらみ?」

おぉ~美樹ってば、頭は悪いのに勘は良いのね? 


「.....」

「今、失礼な事考えたでしょ?」

プクッと頬を膨らませ美樹。


「あ...い、いや、そんなことは...」

当たってた事に焦った私の言葉は白々しく聞こえたかも知れない。

美樹はエスパーなんだろうか?


「言っとくけどエスパーでもないわよ」

腰に両手を当てて胸を張る美樹に、


「...読心術?」

と思わず聞いた。


「いやいや、そんな高等技術持ってないからね」

とナイナイと手を振る美樹は呆れ顔で私を見る。



「ま、そうだよね」

うん、確かに読心術とか無理よね。



「って言うか、私にだけ教えて。嫌がらせの手紙の内容」

「手紙?」

どうして、手紙が来てるって分かったの?


「この下り、無限ループになるから、先に言うけどエスパーじゃないし読心術でもないからね。嵐ちゃんの反応見てたら嫌がらせの手紙が来てる事ぐらい分かるからね」

早く言葉みたいに説明された。


「なるほど」

うんうん、と首を縦に振って感心してたら、


「いや、だから、もう少し危機感持とう」

と言われ、


「...いや、まぁ、そうだけど」

と頷いた。


嫌がらせは嫌だし悔しいけど、そこまでダメージ受けてないのよね。


うん、やっぱりメンタル強いみたい。




「はぁ...嵐ちゃんをターゲットにしてる連中ってバカよね?嵐ちゃんは露ほどもダメージ受けてないのに」

クスクスと笑い出す美樹。


「あ、いや、それなりに悔しいけど?」

そりゃ私も人間だし、嫌がらせなんてヤだよ。


「嫌がらせされて、ここまで他人事の様にしてる子はなかなか居ないよ」

ま、嵐ちゃんらしいって爆笑された。


いやいや、どこにそんな笑う要素あったのよ!