ぼんやりとした視界で、顔だけは先生の方を向ける。
授業の内容が上手く頭に入ってこないのは凄く困るんだよね。
勉強しなくても良い点数が取れるほど秀才でもないし。
そこそこ聞いとかなきゃなんないのよね。
ダメだダメだ、くだらない嫌がらせに囚われてる場合じゃないわ。
パチンと両手で頬を挟むように叩く。
しっかりしろ、こんなんじゃ嫌がらせやってる奴等の思う壺だし。
気持ちを切り替えて眼鏡をかけ直した。
さ、黒板を書き写すぞ。
悩むのは後だ。
勉強が先よね。
シャーペンを持ち直して、手元のノートに書き写していく。
これ以上、普通から逸脱する訳にはいかないわ。
嫌がらせなんて相手にしなきゃ直ぐに飽きるだろうしね。
っうか、飽きてほしいし。
暖簾に腕押し、糠に釘作戦だ!
そうすれば、無駄なことだと思ってくれるかな?
とにかく、オール無視で頑張ろう。
新な決意をして授業を受け続けたのだった。
だけど、嫌がらせは日に日に悪化していった。
私の願いも虚しく。
その度に、眞由美と可奈が怒ってくれたけど。
事態の休息は望めそうに無かった。
「嵐ちゃん、嫌がらせされてるってほんと?」
美樹に昼休みに視聴覚室に呼び出されて、現在尋問中されてます。
「...あ..うん」
バレてる様なので素直に頷いた。
美樹には内緒にしてたのになぁ。
毎日のメールや、時々部屋に遊びに来てた時もバレないようにしてたのに。
「んもう!早く言ってよ」
と怒られる。
「...そのうち飽きるかと思ってたし」
私が動じなきゃ止めると思ったんだけどなぁ。
「もう、嵐ちゃんは呑気ね。嫌がらせする奴等なんて見つけ出して締め上げなきゃ」
ギャルメイクの美樹が凄むと怖い。
ま、締め上げるとまではいかなくても、そろそろなんとかしなきゃだよね。
悪質になってきてるので、私も困ってる。
階段を下りてたら後ろから押されたり、廊下を歩いてたら突き飛ばされたりし始めたからね。
おかげで、最近、生傷が絶えなくなった。
それは非常に困る。
痛いのはヤだし。
そろそろ、腹も立ってきたしね。



