「もうすぐ中間テストだね」
頭の痛い事を言い出した可奈に、
「うん、そうだね」
と返す。
程よい点数にするのが大変だからテストは面倒臭い。
「嵐は頭良いから大丈夫でしょ?私なんて後ろから数えた方が早いし」
眞由美は顔を青ざめさせる。
一年の時は学年最下位にもっとも近い女だと言われてたらしい眞由美。
「私もそれほど良くないわよ。泣かず飛ばずだし」
学年平均の少し上を常に目指してるからね。
実力的には一桁代に入る自信はある。
だけど、私は普通で居たいから.....。
本当の私を知ったら、皆バカだと言うと思うけど。
中学のトラウマから、目立つことを躊躇ってしまうんだ。
目立って人の目に付けば、また一人ぼっちになってしまう。
眞由美や可奈はそんな事を気にする子じゃないのは分かっていても、弱虫な私は自分をさらけ出す事が出来ないんだ。
本当に情けないけれど.....。
「嵐どうかした?顔色悪いよ」
心配そうに私の顔を覗き込む可奈。
「あ...ううん、大丈夫。何でもないよ」
慌てて笑顔の仮面を被る。
「無理しちゃダメだよ。嵐ってば頑張り過ぎるから」
眞由美の心配そうな声に申し訳ない気持ちになる。
二人がこんなに心配してくれてるのに、私はまだ過去の囚われたまま。
「ん、ありがと」
いつか、二人に本当の私を伝えられたら良いなと思う。
「きゃ~ハハハ!」
「面白~い!」
「琉希也、格好いい」
聞こえてきた甲高い耳障りな女子の声。
「っうか、カラオケ行こうぜ」
「おう、だよな」
テンションの高い男子の声もして。
「また、あいつら」
憎々しげに視線を向けた眞由美につられて視線を移動させる。
階段に我が物顔でたむろするカラフルな頭のギャルとヤンキーが6人。
「古沢君達じゃん。相変わらず格好いい」
瞳をキラキラさせた可奈。
「バカね、可奈。あんな奴迷惑にしかなんないでしょ?」
乙女の顔をする可奈に眉を寄せて毒を吐く眞由美。
集団の中でもっとも目立つ男に視線を向けた。
金髪のライオンヘアー、長い襟足を片編してるイケメンは古沢琉希也(フルサワルキヤ)と言う。
同じ学年の彼は所謂ヤンキーと言う分類。
大きな二重に、整った鼻筋、女の子達を魅了する微笑みでうちの学校の王子と称されてる。
その上、喧嘩が強くて悪っぽさがファンを増やしてるのだとか。



