現実は小説よりきなり







明け方まで小説を書き続けた私は、記憶を失うようにベッドに俯せに倒れた。


もちろん、スマホを片手に握り締めたまま。




その結果.......目覚めは最悪だった。


しかも、二つに降り曲がった状態で眠っていたモノだから節々が可笑しいほど痛いし、動かない。


手の中でバイブしながらアラームを鳴らすスマホをやっとの思いでタップする。


ピキピキと骨が鳴るんじゃないかと思うほどに、上手く動かせない体をなんとか動かしてみる。


「...い、痛いよぉ...」

涙目でようやくベッドから降りたものの、背中が丸く曲がったままで、丸でその姿は田舎のお婆ちゃんだ。


ヤバいよ、足を捻挫してる上にこの体制って厳しい。


湿布を貼った足は昨日よりは幾分か痛みはマシになってはいるものの、丸めた背中じゃ負担が掛かりすぎる。


一先ず部屋着のポケットにスマホを突っ込む。

それから、壁に片手をついて、もう片方の手で左足の膝を押して体を持ち上げた。


とにかく、背筋伸ばさないと歩けない。


バキバキとなる骨。


折れちゃうの?とか不安になりつつ、頑張って背筋を伸ばした。


あぁ~体全部が痛いよぉ。

そして、あまり寝てない頭はボンヤリとしていて思考能力がかなり低下してる。




「はぁ...休みたい」

本気の言葉が漏れでた。


逃げててもダメなの分かってるけど、色々と放棄してしまいたい。



いやいや、ダメなのわかってるよ?
 
分かっちゃ居るけど......。


完全にネガティブになっちゃってる私。



あぁ、普通で居たい。



痛くて重い足を引き摺りながら、壁づたいにドアを目指す。

渋ってた所で時間はすすんでっちゃうからね。

朝に準備する。


洗面を済ませて、制服に着替える。

可愛いと思ってた薄ピンクのブレザーが今は疎ましい。

ネクタイを締めて、髪を解かして通学スタイルの完成だ。


リビングのソファーに座りながらテーブルの上に置いた鏡を見ながら軽く化粧する。

鏡に写る私は間違いなくどんよりしてる。



「今日は何事も起こりませんように!」

なぜか、鏡に写る自分に向かって両手を合わせて拝む。


いやいや、私、なにやっちゃってんの?


ダメだ...とばかりに首を左右に振って、最後に大きく肩で息をついて立ち上がった。


朝御飯食べに行こ。


眞由美と可奈が待ってるだろうしね。