現実は小説よりきなり






「ダメだわ、もう寝よ」

色々考えすぎて頭痛いし。


しかも、6月のよるはヤッパ寒い。

部屋着のままでベランダに居たのは失敗だ。

体の芯まで冷えきった。


あ~ぁ、冷え性なのにダメじゃん。


両腕をスリスリと擦りながら部屋へと舞い戻った。


足先冷た~い。

私、何してんだか。


はぁ...と大きな溜め息をついて寝室へと向かった。









冷えた体を温めようとベッドに入ったのは良いけど。

ちっとも眠気がやってこない。


いやいや...眠れ眠れ。

頭の中で呪文を唱える。


...今日の私はかなり可笑しい。

いや、まぁ、普段も可笑しくもなくもないけど。



目を瞑って羊なんつ~もんを数えてみた。


羊が一匹....羊が二匹...羊が..三匹...羊が....百匹....。



「だぁー!何匹飛ぶのよ!」

ガバッと上半身を起こした。

百匹目は黒い羊だったなぁ、とか思いながらも肩で息をついた。


正直、羊なんか数えても眠れる訳ないし。

頭の中で未だにピョンピョン跳ねてる託さんの羊を消し去る。


無理だ、羊は宛になんない。



「かえって目が覚めたし」

パッチリした視覚、完全に覚醒した頭。

まったく眠れる見通しが付かない。



「良し、こうなったらやることやろう」

パシッと両手で頬を叩いて、サイドボードに置いてあったスマホを手に取った。


こんな時こそ、小説の更新だ。

私は読者様の為に頑張るぞ!


意気込んでスマホをタップしていく。

とにかく、更新あるのみだ。

余計な事は頭から取り去って空っぽにする。

そこへ、小説の事を詰め込む。


さぁ、空想の世界にレッツゴー!


膨らますイメージ。

頭の中では私の作品のキャラ達が会話を始める。


聡明なイメージがドンドンと沸いてくる。


ここは、こうして。

この場所ではこの言葉。


取りつかれた様に文字を作っていく。



これが私の世界だ。

この世界が私を守ってくれる。


一心不乱に文字を綴り続けた。