登校中の生徒達に混じって校門を抜けると、昇降口で上履きに履き替えた。

いつもと変わらない風景に安心しながら、教室を目指す。


ここまでは普通だ。
 

うんうん、変わりない。



三人で教室に入っても、誰かの異様な視線を受ける事もない。


「おはよう」

クラスメイトと挨拶を交わしながら、自分の机に向かった。

良かった、何も変わんない。


私の日常に変化はいらない。




「はい、鞄」

「ありがとう、眞由美」

眞由美から差し出された鞄を受け取って、席につく。


「お礼なんて良いし」

フフフ...と笑う眞由美は可愛いなぁ。


「じゃ、また後でね」

可奈と眞由美が手を振って席から離れていく。


「ん、また」

二人とは席が遠いんだよね。


私は窓際の一番後ろの席なんだけど、眞由美は廊下側の一番後ろ、可奈は教室のど真ん中の席。


見事にバラバラなのだ。


鞄から教科書や筆記用具を取り出すと、鞄を机の横にかけた。


朝のHRは後少しで始まる。


頬杖をついて、ぼんやりと空を見上げる。


今日の空は薄曇り、梅雨の季節に有りがちな空だ。

自然と気持ちまでどんよりしてくるのはなぜだろう。