ただ、一人部屋は料金がかなり高いので家計に負担かけちゃってるのが申し訳無い。


私が小説で稼いでるお金で払うと言っても、そこはガンとして折れてくれない両親。

でも、やっぱり申し訳無いので無理矢理押し付けた賞金や収入の一部は両親に渡しているけど、私名義の預金通帳に入金されてるらしい。

一銭も手をつけてないよ、と姉から聞かされた時は親の愛情の深さに泣いた。


私は両親にも姉にも愛されてる。


それが分かってるから、もう二度と中学の様な状況に陥りたくないんだ。



エレベーターを降りて目的の場所を目指せば、起きたてらしい生徒達がゾロゾロと増えてくる。


ガヤガヤと騒がしい食堂に足を踏み入れれば、私を呼ぶ声がした。



「嵐、おはよう」

「席取ってるよ、嵐」

先に来てたらしい眞由美と可奈が笑顔で手を振ってる。


二人は4階の二人部屋に仲良く住んでる。


「おはよう。早いね、二人とも」

返事を返しながら二人の元へと向かう。


大勢の生徒で賑わう食堂は空腹の人間には涎が出ちゃいそうなほど良い香りが漂ってる。


因みに朝は洋食か和食の二種類から選べる。



「うん、嵐が早く来るような気がしたんだよね」

と眞由美。


「そうそう、だよね」

と眞由美に同意する可奈。


「ご飯貰ってくるね」

眞由美達が確保してくれてた席にスマホを置いて配膳カウンターに向かう。

料金は身分証である学生証をカウンターの注文レジにかざせば、清算できる仕組み。

学生証にはIDチップが内蔵されてる。


凄いよね、このシステム。

最近は何でもPC管理なんだよね。

便利は便利だけど、パッキングされて情報漏洩されたら怖い。


カウンターに並ぶ生徒達の最後尾に並ぶ。


『おはよう』とかかる沢山の声に笑顔で挨拶を返す。

皆、朝から元気だと尊敬する。


私なんて低血圧で中々テンションも上がらないのにさ。

まぁ、今日はテーピングが思いの外上手く行って機嫌は良いけどね。



さぁ、今日はどっちにしようかな。

当たり前だけど、朝御飯の洋食はパン、和食はご飯だ。


やっぱ日本人は朝味噌汁かな?

本日のメニューを見ながら考える。