現実は小説よりきなり








鳥の囀ずりに清々しい朝を迎える。

窓から入り込む朝日にこんにちは。


な~んてのは、小説でしかない。


煩く鳴り響くスマホ。


体を起こしてそれを手に取った。


あ~体怠すぎる。


スマホのアラームをタップして止めた。



何時?スマホの画面で時間を確認すれば7時を15分ほど過ぎたところ。

多分、スマホのアラームは2分置きのスヌーズを数回繰り返しただろう。



起きなきゃな...。


ベッドの上を這うように進む。


もちろん、捻挫した右足はかなり痛い。



冷たいフローリングに両足をペタリとつけて、ベッドから降りた。


途端にズキンと襲う右足首の痛み。


「うわぁ、ちょっと洒落になんない痛みだな」

足首へと視線を向ければ、やっぱりくるぶしの周辺がプクッと腫れてた。


やばいっしょこれ。

どう考えてもこれは隠すの無理だな。



とにかく、テーピングで固定しなきゃ歩けそうにないな。

片足を上げて、手近な元に掴まってつたい歩きをしながらベッドルームから脱出した。


正直、けんけんは歩きにくい。


いくら学校が近くても、つたい歩きで行けるわけもないし。

テーピングで歩けるようになると有りがたいんだけどなぁ。

最悪ダメな場合は....休むか。


ん、これは緊急事態だし仕方ないよね。




やっとの思いでやって来たリビング。


ソファーにへたり込むように座った。


病院で貰ったテーピングを取り出すと、看護師さんからレクチャーされた通りにテーピングを巻いていく。

適当に巻くと意味がないらしい。


しっかりと固定して足を床につければ、あ~ら不思議!

さっきまでの痛みが嘘のよう。


「うぉ~テーピングって凄い」

思わず感心してしまう。


テーピングってやるなぁ、と思いつつ支度に取りかかる。

これぐらいの痛みなら学校も行けそうだし。



洗面を済ませて着替えを終えると、一階の食堂に向かう。


この寮は、一人部屋が5階、二人部屋が4階3階、三人部屋が二階、食堂と大浴場は一階にある。

因みにコインランドリーも一階だ。


一人部屋には洗濯機と簡易キッチンとお風呂は完備されてる。

二人部屋はお風呂のみ完備、三人部屋は何もなしって感じだ。

もちろん、部屋の料金もかなり違ってる。


パパが一人部屋を選んでくれたことには感謝だ。

だって、他人と一緒に同じ部屋で暮らすなんて私には出来なかっただろうし。