中学の頃に苛めにあったのか?と言われたらよくわからない。

ただ、少しだけ皆より目立った事で同性から嫌われた。

異性が近づく分だけ、私はクラスで孤立していった。


無論そんな状況で女友達なんて出来るわけもなく、教室にポツンと座ってる存在と化した。

それってやっぱり寂しくて。

男の子は、時折話しかけてくれたけど、その度にくだらない嫉妬心を燃やした女の子達にあらぬ噂を立てられた。

それが嫌で誰とも口を利かなくなった。


それが、私の悲しい中学三年間。

一人なんて孤独で凄く嫌だった。

携帯小説が唯一の私の心の拠り所立ったと思う。


だから、高校では普通を目指す事にした。

もちろん、心機一転するために同じ中学の子が居ない高校を選んだ。


両親を説得し、親元を離れ寮のあるこの学校へとやって来たんだ。


住んでいた街からは新幹線で三時間ほどかかる此処は、少しだけ都会だ。


受験をするために訪れた時に、街の賑やかさに驚いた。



と、まぁ、こんな感じで私はここに居る。









「では、次の問題を木下、解いてみろ」

教壇に両手を乗せた先生がこちらを見た。


チッ...当てんな、面倒臭い。

とか思いつつも、ニッコリ微笑む。



「...はい」

と立ち上がって黒板の方へと歩いていく。


クラスメイトが見守る中、白いチョークに手を伸ばす。


黒板に書かれてる問題をよ~く見る。


そんな難しい問題じゃないから解いても大丈夫でしょ。

成績を平均より少し上に調整してる私は、その都度当たり障りのない問題かを考えて解く。


だって、あんまりこれ見よがしに頭の良さをアピールしてしまうと普通じゃ無くなっちゃうでしょ?


私は普通の領域から抜け出したくないので、成績さえも操る。


サラサラと黒板の問題を解いていく。


「終わりました」

先生に声を掛けて、自分の席へと戻る。


「おっ...出来てるな。皆も、この問題は出来ただろ?」

私の書いた答えをピンクのチョークで丸をすると、こちらに向かって微笑んだ先生。



「当たり前」

「簡単すぎる」

「このぐらいはねぇ」

口々にそう言うとクラスメイトにほっと胸を撫で下ろす。


うんうん、皆が出来る平均的な問題だったもんね。


成績の調節はちょっと難しい。

分かってても知らない振りをしなきゃなんないしね。