回りが敵ばかりになり孤立した私の唯一の味方は、ネット上の読者の皆だった。


そりゃ、両親もお姉ちゃんも居たけど。

本当の意味で等身大の気持ちを分かってくれたのは皆で。


苦しみの中に居る私が書いた処女作品は自分の事を赤裸々に書いたもの。

心の中の葛藤を吐き出すために書き始めたそれは、皆の共感を呼び爆発的な人気作品になった。


商品化なんて考えてなかった私の処女作は文庫本になり、この秋映画化されて公開される事になってる。


ほんと、人生どうなるか分かんないね。


未だにトラウマから抜け出せてない私だけど、小説家としての道を歩んでる。

まぁ、私なんかを小説家と呼ぶと文学賞とか貰ってる本物の人に怒られちゃうかもね。



フフフ...小説の事を考えてる時が一番楽しいや。

私って、結構ネクラな子だね。



読者の皆のコメントに返信をしてサイトを閉じた。



ベッドのサイドボードにスマホを置いて、う~んと伸びをする。


それから部屋着のままベッドに横たわった。



なんだか、変な一日だったなぁ。


あくまでも小説の題材にしてた古沢君と絡むことになるなんてね。



しかし、彼の新しい一面を見たな。

責任感あったんだね?

フハハ...失礼な事考えてるよね。


だけど、本当に以外だった。


まぁ、彼の気紛れだろうけどさ。


そう言えば、古沢君て良い匂いしたよね?

やっぱりイケてるメンズは香水なんて言うお洒落な物を着けてるんだね。

ま...どうでも良いけどさ。




神様、どうか明日からも普通の日々が過ごせます様に。

胸の前で手を組んで祈る。



派手に目立ってる彼らとこれ以上関わらなくて済みますように。


私は普通に平凡に居たいのです。



目立つなんて余計な事にはなりたくない。



折角、誰も知り合いの居ないこの場所に来たのに、昔の二の舞なんてごめんだ。



目立って良いことなんて一つもない。


マイナスな空気に包まれた私はゆっくりと目を瞑る。


今日は色々と疲れた。


お風呂は明日の朝にして、今日はもう眠ろう。


たうたうように眠りの中へと誘われていった。