早めに来たからか、スピードマウンテンは珍しく空いていた。 それでも日曜日だから、いつもより、いうだけで、待たされはしたけれど。 そして私たちの番がやってきた。 「…入谷くーん?」 私と桐山さんが隣同士、その後ろに藤澤さんと入谷くんが隣同士―なのだが、入谷くんが頑なに動かない。 「早くしないと、いっちゃうよ?」 「…むしろ早くいってくれ…」 「えっ?」 何か呟いたような気がするけど、喧騒で聞こえない。