「へえ…取り壊し、ね」 私の話を静かに聞いてくれた彼は、何かを思うように呟いた。 「それで、代わりの家は見つかったのかい?」 「いえ、まだです…ロワちゃんに会ったのも、不動産屋さんに行こうと思って歩いてたからなんです」 「それはロワが邪魔をして悪かったね」 彼が言うと、私の足元で丸まっていたロワがにゃーんと鳴いた。 「ロワも謝ってるみたいだよ」 「ふふっ…かわいい」 「それで、家の話に戻るんだけどさ」