私を溺愛していた兄は、大学に行くのをやめて働くとまで言ってきた。
しかし、私はそれを否定した。
「私は、ここで1人で暮らすよ」
「そんなのっ、」
「お兄ちゃんは、ちゃんと大学に行ってよ!……じゃないと、お父さんとお母さんも悲しむよ」
お兄ちゃんは、ちゃんと夢があって東京に行くのだ。
だからって、私も合格した高校を諦めたくはない。
最後まで渋っていたお兄ちゃんも、最後には頷いてくれた。
1週間に一度は電話をすること、半年に一回はどちらかが会いに行くこと、1年に1回は必ず2人でお墓参りに行くことを約束に―

