嬉しさで自然と上がってしまう口元にソッと手を当てて、ニヤけているのを隠す。


その時、フワッと頭の上に温かい何かが触れた。


「えっ……」


「良かったじゃん、湖柚。皆に褒められてよ」


温かいものの正体は村星君の右手で、彼は優しい瞳を向けながら私の頭を撫でる。


「皆が皆、お前に絡んだ様なヤツじゃねぇんだよ……だからもっと、人を見てみろよ」


穏やかな声でそう言われ、1つの疑問が脳内に浮かんで来た。


“人を見てみろよ”


私…今まで何してたっけ…?


昔のトラウマが原因で、ひたすら人を遠ざけていた。