でもある日、父は大きな荷物を持って靴を

履いていた。

僕は仕事に行くんだと思ってやっと元気に

なったんだと嬉しくなったが

姉が泣いていたのでおかしいと思った。

すると父は振りかえって何も言わずただま

だ小さな僕の頭を少し荒めになでた。

その時父からしたお酒の匂いは今でもはっ

きりと覚えている