「おい!誰だ。」

と、低めの声が聞こえた。

びっくりして振り向くと、そこには不良と

呼ばれている、山神龍聖く

ん(ヤマガミリュウセイ)がわたしをにらんでい

た。私の苦手なタイプだ…。でも、

「泣いていたのか?何があった。」

と言い私の隣にドカッと座り目をしっかり

みて、聞いてくれた。

だから私はなにもかも全部はなして、号泣

してしまった。人前で泣くのは初めてだっ

た。龍聖くんは何も言わず、ただ私が

泣き止むまで背中をさすってくれた。

龍聖くんは悪いひとじゃないのかも。

ちょっとするとチャイムが鳴った。

私は教室に戻りたくなかった。祐哉くんの

ことを考えると胸がぎゅーーってなるし祐

哉くんは皆の王子様だって分かったから。

昨日のことで、祐哉くんは私の事が好きだ

とうぬぼれてた。

なにを期待してたのだろう…。

『恋はほろ苦い…。』

昔、おばあちゃんが言っていた事が少し分

かった気がした。