平遥は、子犬が怒られたときのようにしゅんとして、
「だって、場所わかんねえんだもん」
と、小声で言った。
「気持ち悪いよぉ」
「気持ち悪いわ」
わ、またハモった。
男子が『もん』って、引くわ。
そこら辺の女子なら、「可愛いー!」って言ってくれるだろうけど、私は言わないからな!
ハンッ!
平遥は、まだ扉の所にいて、「酷ぇ……」なんて、ブーブー言っている。
「でも、場所わかんねえのは本当だから、着いてきて」
両手を合わして、拝みのポーズをとる。
それなら……まあ、いっか。
「しょうがないなぁ。行ってあげるよぉ」
その瞬間、平遥の顔はパァッと明るくなった。
すごい、分かり易いな。
感情が素直に表せるって羨ましいわ。

