青春日和


「冗談だよ、電車が遅れて」


「そうだったんだ」


心配して損した。

はぁ、と溜め息をつく。


「ん?どした?」


「別に?」


「あ、そう?じゃ、中に入るか」


事故にでも遭ったのかと思った。なんて、口が裂けても言えない。

そんな、心配性な人なんて、思われたくないし。

絶対、笑われるし。


ショッピングモールの中は、さっきの季節はずれの暑さを一瞬でかき消すように私の身体を冷やしてくれた。

汗がすぐにひく。

土曜日だからか、家族連れや友達同士、カップルが賑わっていた。


「何買うの?」


人々と音楽で賑わうショッピングモールの中、横田に声が届くように耳元で呟いた。


「え?なんて?」


「だから、何買うの?」


さっきより近くで話す。

声が小さいって不便だ。

こんな近くで話すなんて、いくら横田でも恥ずかしい。


「……あ、ああ、湯呑みと箸を買おうと思ってる」


やっと横田の耳に届き、誕生日プレゼントを教えてもらった。

人のおばあちゃんの誕生日プレゼントだけど、なんだか楽しみになってきた。