「ねー、今度の土曜日どっか行かない?」
「………………は?」
「は?じゃなくて」
横田はいつものように爽やかに笑い、一呼吸おいて、
「おばあちゃんの誕生日プレゼント、買いに行きたいから付き合ってくんないかな?」
と、頭をぽりぽりかきながら言った。
え、何、同情?
それとも、ただ単に私を誘ってくれてる?
「まあ、いいけど……」
「よっしゃ」
腰の横で小さくガッツポーズをしているのが見えた。
そんなに、嬉しいことかな……?
……あ、一人で行くのが寂しいだけか。
「でもさ、それって、私がおばあちゃんって遠回しに言ってない?」
少し、冗談っぽく言ってみる。
「んな訳ないって、もしかして、趣味がおばあちゃんだとかだった?」
すると、横田も冗談で返してくる。
ニヤニヤしてて、なんか、ムカつくわぁ。
しかも、図星だし。
緑茶とか好きだし!
「な訳ないから」
私は、それを隠し冷静に否定。
バレたら、絶対バカにされる。
「言い方怖っ」
「五月蝿い、余計なお世話」
誘ってくれて、少しドキッってした私が馬鹿だった。
絶対ないわ。
そんなこと。
自意識過剰にも程があるよ。
馬鹿すぎる。
「じゃあ、二時にモール前集合ってことで」
横田の声で我に返る。
「……あ、わかった」
「じゃ」
わたしの机に倒していた上半身をゆっくり起こし、自分の席に戻っていった。
おばあちゃん思い、だな。
それも、そうか。
あんな事があったんだもんね……
……私、何同情しちゃってんの。
同情なんてするもんじゃないし、させられても相手が気分悪くなるし。
可哀想なんて、思ってない。

