声をかけられた後、まだ誰も座っていない私の前に席を後ろに向け座った。
彼女の長いくて艶のある髪の毛がゆらゆら揺れる。
「まさか、一緒のクラスなんてね。びっくりした」
嶋田七美の席に着いてから言った言葉。
まるで、遠い昔の話をしてるみたいに──
そう、遠い、遠い、昔話をしているときみたいに、懐かしそうに、私を見た。
びっくりしたのは、こっちもだよ。
凄く驚いてんのと、また、恐怖感が蘇ったのとか。
てか、私そんなに昔の人じゃないよ?ってムカついたのとか。
色んな感情が入り混ざって、今にも心臓が張り裂けそう。
──でも。
小学生の私が“目標”を立てた。
“ぶりっこ”という簡単に人から嫌われ、避けられ、人と関わりを持たなくなる方法。
だから、
ぶりっこに、
「ゆうかもだよぉ。すっごいびっくりしたよぉ」
なりきるんだ。

