することがなくなった私は、ヘッドホンを耳に当て、好きな音楽を聞いた。
「優香ー?!朝ご飯できたわよー!」
ちょうど、一階からお母さんの声が聞こえる。
そんな大きい声出したら、近所迷惑だよと呆れながら、「はぁーい!今いく!」と答えた。
一階に下りると、朝ご飯が用意されてあった。
食パンの焼いた香りが鼻をくすぐった。
お皿の上の食パンを口に放り込む。
焼きたてっぽくて、外はサクッと、中はモチッとの状態だ。
朝ご飯を食べ終え、玄関に向かった。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
お母さんに見送られ、家をあとにした。
新しく始まる中学生ライフ。
前みたいなことはやられたくない。
そのために、“ぶりっこ”になるって決めたんだ。
私は、大きな不安と小さな期待を胸に青空の下を歩いて行った。

