「あ!」
中に入ろうとしたら、後ろからメンドクサイ茶髪男子が叫んだ。
なに。
私は教室に戻りたいんですけど……
「名前は?」
その質問に、ずっ転びそうになる。
「ね!名前は?!」
メンドクサイ茶髪男子は、声のボリュームを落とさない。
はぁ、本当にメンドクサイ人だな……
「西野優香だよぉ」
「ふーん?俺は、平遥 空。よろしくな」
そう言って、タイヨウはニカッってかんじに笑う。
さっきまで私のことを「ウザい」とか、「ムカつく」とか言ってたくせに。
不思議な人。
ここで一つ、疑問が浮かんだ。
「太陽?お日さまのぉ?」
この人の名字。
“太陽”
だなんて、変わったやつ。
「違う違う、平たく遥かって書いて、平遥」
あ……そっちね。
ま、いいや。
今度こそ、教室戻ろ。
私は、屋上から走って出て行く。
後ろで、メンドクサイ奴が何か言い掛けていたけど、気にしない。
私は一階の、これから過ごす場所に、小走りで向かった。

