「でね、お母さんが目の前で滑ってさー」
「何それ、おっちょこちょい過ぎでしょ」
私の部屋に七美がいる。
私のお向えで七美が笑ってる。
私も笑ってる。
クーラーの効いた部屋で、テーブルに勉強道具とお菓子を広げて、二人で。
夏休みが始まってすぐ。
七美と私は宿題を早めに終わらせよう! ということで、私の部屋で勉強会を開催した。
夏休み前最後の学校の日、一緒に帰ったときに計画した事。
最初の方は無言で気まずかったけど、なんでか、いつの間にか気まずかった雰囲気はどこかに飛んでいって、すごい盛り上がってた。
周りの人に睨まれてたっけ。
なんであの時、このぎこちない関係は戻るかな……なんて思ってたのかな。
それが不思議なくらい、私たちは意気投合した。
気づけば、“優香”、“七美”と昔みたいに呼び合ってた。
ピーンポーン
突然、インターンが鳴った。
今日、七美以外の友達は呼んでない。
ていうか、いない。
……お母さんの友達かな?
お母さん、今留守なんだけど……
ピーンポーン
「七美、ごめん。ワーク進めてて、ちょっと見てくる」
「うん、了解」
両手を合わせ謝ってから、急いで階段を降りた。
はぁ、お母さんなんで留守なの。
下に降りるの面倒くさい。
ゆっくりドアを開けると、そこにいたのは、
「え?」
「よっ」
「久しぶり?」
何日かぶりに見る、平遥と横田だった。