青春日和



……あ、私寝てた。

気づいたら五時を回っていて、平遥は教室にはいなかった。

私の肩には学ランがかかっていて、それが誰の物か、言わなくても分かる。


「夏だから風邪は引かないっつーの……」


まだ日が高い空に涼しい風が教室に流れ込んでいた。

なぜだか心は心地良いほど暖かい。

ちょっとだけ、嬉しいのかも。

学ランを肩から降ろすと、カサリと音を立ててメモ用紙が落ちた。

拾い上げてメモを見ると、



────待ちくたびれたから先帰る。気を付けて帰れよー 
それと、“自分に正直に”だからな!
怖がることねーよ! 平遥 ────



と、決して綺麗とは言えない字で書いてあった。


「……わかってるよ、それぐらい」


平遥のお節介な優しさに少しくすぐったくなって、苦笑した。



──もう、答えは決まっているから。