元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~









すると。



「――――!?」



チサは言葉にならない悲鳴を上げた。




廊下に、いつもの三つ編みをほどき、眼鏡を外している紅羽がいた。

こんな時間にどうしたんだろう?と考えているうちに、後ろから別の人が現れる。



綺麗な銀髪、美しい紫色をした双眸。

いつもと見た目は違うけど・・・神崎だ。

いつもは黒髪で眼鏡で茶色い双眸だけど、あの不思議な雰囲気は、神崎だ。



初めて見た時から、紅羽と神崎は普通の、一般人だとは思っていなかった。

どこか違う雰囲気を醸し出していたのだ。

何故?と聞かれれば答えられないけど。

チサ、昔から勘は鋭いから。




2人はチサたちに気づかないまま、廊下を歩き、階段の入り口へと消えて行った。

こんな時間に・・・どこへ行く?

先生たちの見回り時間もあるだろうに。




「どこ行くんだろうね?あの2人」

「多分・・・仕事だろうな」

「仕事?」




聞き返すと、恭真は見たことのない鋭い視線で、チサを見降ろしていた。

恭真の方が、背が高いからね。