1人のチサの家に来たのは、チサの前にリーダーを務めていた女性。
姉貴と呼んでいたから、名前はわからない。
「知紗、キャットに行ってごらん」
「キャット?」
「マウスは実はキャットの姉妹グループみたいなもの。
そこのリーダー、相島花菜を知っている?」
「知っていますよ!
喧嘩負けなし最強ヤンキーですよね?」
「会いに行ってごらん。
この間マウスを潰したヤンキーグループにキャットも潰されたの」
「キャットも・・・?」
「相島花菜は知紗と同い年。
支えあって生きて行くのも、大事なことだよ」
「はいっ・・・!」
正直半信半疑だったけど。
チサはキャットのアジトがある街を訪れた。
その街の人に相島花菜のことを聞くと、皆して見ていないと言っていた。
チサは知らない街で、姉貴からもらった顔写真だけを頼りに、相島花菜を探した。
誰もいない、小さな空地。
先ほどから雨も降りだしたので、地面はぬかるんでいる。
その空き地にいたのだ。
傘もささずに、ぬかるむ地面に座りこむ少女を。
「花菜・・・?」
しゃがみ込んでいるから、顔は分からないけど、チサは自然とそう呼んだ。


