「ここが総司の部屋です」



お兄さんが止まったのは、茶色い扉の前。

音も何もしない。



お兄さんは仕事のため寮に入っていたと言っていた。



この大きな家に、

総司は1人でいたんだ。




カナと同じように。




じゃ、その扉を開いてあげないと。

カナが傍にいてあげたいから。




「お兄さん、この扉いくらぐらいしますか?」

「え?いくら?
そんなに高くはないと思いますけど・・・」

「壊しても良いですか?」

「は?」

「良いですね。
では失礼いたします」



お兄さんの止める声も無視し。

カナは右足に力を込めた。




その足を、

思い切り振り上げ、




回し蹴りをした。