「紅羽・・・何でここにいる?」
「実はね、氷さんに澪鵺が早退したこと伝えたら、合鍵くれたの。
それでお邪魔しました」
「何しているんだ?」
「ご飯作っているの。
待ってて、美味しいの作るから」
ベタベタな顔で笑いながら、紅羽は鼻歌を歌いながら作る。
「・・・紅羽」
「なぁに?」
「・・・何でもない」
キョトンとする紅羽を置いて、俺は部屋へ戻る。
何でだろう?
素直に紅羽に聞けない。
今まで俺を、紅羽は避けていたはずだろ?
それなのに・・・。
何で紅羽は何事もなかったかのようにいるんだ。
変わらぬ笑顔を浮かべるんだ。
・・・紅羽。
俺、紅羽と出会ってから、
色々な“気持ち”を知っている。


