「・・・ん」
薄っすら目を開けると、頭の痛みは引いているし、体の重さも軽くなって来ている。
おでこの辺りが、なんだか冷たい。
しかも、なんか良いにおいするし。
これは・・・夢?
「キャアアアアアッ!」
夢じゃない。
何だ今の悲鳴は。
俺はだいぶ楽になった体を起こし、悲鳴の生まれたであろう台所へ向かった。
「・・・?」
「あ、澪鵺起きたぁ?」
振り向いた、爽やかそうな少女。
前言撤回。
エプロン姿の少女の顔は、何故か脂っぽい“何か”でベタベタ。
手には多くの色とりどりな絆創膏。
エプロンにはパン粉らしき白い物体。
汚れている少女―――玉置紅羽は、俺を見て微笑んだ。


