「って、お兄さんが全部?」 「そうだけど?」 「ご両親出してくれないの?」 「あー・・・オレん家(ち)、親いねぇから」 「親がいない?」 「そ。 オレがガキの頃、母親出て行って、その後親父も死んだ」 そ、そんなにアッサリ言うなよ! 「・・・」 「気にしないで花菜チャン」 「・・・うん」 「ガキの頃だし、オレもあんまり記憶ないしさ」 「・・・そっか」 カナはこの時、 総司が見せる、あの寂しそうな笑顔の理由が、少しわかった気がした。