「あ・・・スイマセン」



店員さんは急いで長袖を伸ばす。



「別に構いませんよ」

「そうっスか?
たまに嫌だと言うお客さんいるモンで。
夏だから、つい腕まくりしちゃうんっスよね」

「暑いですからね。
ところで、お聞きしたいことがあるんですが」



再び袖をめくる店員さんに聞く。



「このお店に、カセンヒナタさんはいますか?」

「カセンヒナタさん?
いや・・・いませんケド」

「では、オーナーさんを呼んでくれますか?」

「オーナーっスか?
待っていてクダサイ呼んでくるンで」



「オーナー!」と元気よく叫びながら、店員さんは奥へ入る。



「オーナー、呼んできたっス」

「どうしたのリュウくん・・・」



リュウくんと呼ばれた店員さんの後ろから顔を出したのは・・・




「・・・!?」

「お久しぶりですね・・・陽詩さん」



エプロンを身に着けた、陽詩さんだった。