元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~








「お兄ちゃん?終わったよ」

「あ、うん」



降りるのも大変そうにしていたので、僕は降ろしてあげる。



「ありがとう」

「危険ですからね」



僕は喜怒哀楽を出すことがあんまりないので、ここで漫画や小説らしくニコリと微笑むことはない。

それでも陽詩さんは笑った。



メリーゴーランドの出入り口に向かっていると、カップルが喧嘩していた。



「ほら早くしてよぉ」

「ったく、しょうがねぇなぁ」

「何でよぉ、さっきのカップルはやっていたじゃない!」

「大体、ああいうのやるのなんて、可笑しいんだよ」



・・・多分、僕らの話だろうな。

僕が陽詩さんを抱き上げたりベルト締めたり降ろしたり。

カップルの彼女の方、しきりに僕のこと見ているし。




よく考えたら、僕は一体何しているんだろう?

陽詩さんのことなんて、別にどうとでも思っていないし。

陽詩さんは僕を「お兄ちゃん」と呼ぶけど、僕は「お兄ちゃん」なんて思っていないし。




「もう良いもん!別れてやる!!」



彼女が言いだす・・・て、え?

待て待て、嘘だろ?

あっけなくないか!?