元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~










ベルトを締め、僕は降りる。

急いで陽詩さんの乗る馬の隣になる、白い馬に乗る。



「あ、アリガトウゴザイマス・・・」

「何故カタコトなんですか?」

「お、お兄ちゃんもカタコトになっていたじゃないですか」

「・・・あれは、その、気にしないでくださいっ」

「え?気にしちゃいます」

「ひ、陽詩さんっ!」

「アハハ、慌ててる慌ててる。
お兄ちゃん可愛いんですねー」

「可愛いって・・・。
僕も一応男ですから・・・可愛いはちょっと・・・」

「でもさっき、あたしを乗せてくれてベルトを締めてくれたお兄ちゃんは、誰よりもかっこよかったです。
その上、今の姿も素敵です」

「今の姿・・・?」



ただ馬に乗っているだけだけど?



「まるでお伽噺に出てきそうな、白馬の王子様です!」

「僕が・・・?」





いや、違う。

僕は白馬の王子様なんかじゃない。



僕は誰に対しても本音を明かさない、コオリのような人だ。

何故そんなことを言う?



知らないんだね陽詩さんは。

僕が、殺し屋組織の情報屋だということを。

誰の味方にもならないということを・・・。