「くそっ、寝れねえよ…」

あの日から、少しでも寝るとみゆが夢に出てくる。

みゆが手術している夢を。

怖いんだ、俺。

みゆが居なくなるのが怖いんだ。


なんで病気は、俺の大切な人を次々に奪っていくんだ…

母さん、そしてみゆまでも…

「なんでだよっ!!!」

壁を殴った拳が痛い。

その瞬間、嫌な予感が頭をよぎった。

「みゆ…」

なぜか俺は、みゆの名前を口にしていた。
なにかある。
みゆに何かあったのかもしれない。

俺は急いで病院へ向かった。




そして…

見てしまった。

手術室の前で泣いている、みゆの両親を。


「ゆう、ちゃん…」

消えてしまうような声で俺の名前を呼ぶのは、母親のいない俺をいつも自分の子供みたいに可愛がってくれたみゆの母さんだ。


「みゆが…っみゆがっ…」

みゆの母さんは、泣きながらみゆが今手術していること、危ない状態の事を話してくれた。

「落ち着いてください。

みゆはきっと無事です。」

みゆの母さんを落ち着かせるため、俺は頑張って平気な自分を演じた。