総司SIDE


総「どうです?? 誰か見えましたか??」


できるだけ、目の前にいる彼女に動揺を悟られないように言葉をかける。

だが、当の彼女は放心状態になっていて答えが返ってこない。

こうゆう時は戻るまで黙っとくことが一番だ。

僕も流石に数ヶ月一緒にいるからその位は学習してる。


総「はぁ…」


無意識のうちにため息が出た。


正直、裕紀ちゃんに好きな人がいたのは意外だった。

そんな素振りは今まで見たことなかったし。


………


目の端で未だ放心状態の彼女を見る。

僕のやってることがひどいのは自分でもわかってる。

彼女がこうゆう事に鈍いのを利用して、彼女の気持ちを─スタッ


裕「ち、ちょっと厠に行ってきます…」

総「あ、はい。」


そう言って裕紀ちゃんは俯きながら部屋を出た。




総「…どこ行ったんだよ」




無意識のうちに敬語がはずれた。

こんなのはいつぶりだろうか。


彼女が本当は厠に行かないことぐらいわかる。

だとしたら…


気持ちを伝えに行った…??


総「クソッ」


勢いに任せて髪を掻き上げた。

元々高い位置に結んであるそれはボサボサになった。

でも、そんなの気にならないくらい気が立っていた。