土「来たか。少し体動かすか?」

裕「いえ、今軽く走ってきたので大丈夫です。」


私がそう言うと土方は一言で返し、私に投げて木刀を渡した。


土「防具は無しでいいんだよな?」

裕「はい、結構です。」

土「なら、寸止めでもありだ。」

裕「わかりました。」


そう言うとお互い構えをとる。


そろそろ始ま──ガラッ


土・裕「「!?!?」」


私と土方は音のした方を同時に見た。


そこにいたのは


斉「…副長、何してるんですか?? 一ノ瀬も。」


斉藤だった。


土「お前こそ何してんだ??」

斉「俺はいつも通り朝練しに来たんですけど。」

土「そうか。なら、少し審判やってくれ」

斉「わかりました。」

土「寸止めてもありだ。頼んだ。」

裕「あ、お願いします。」


私も慌てて頭を下げた。

斎藤は静かに頷き、すぐに私達の中間に入ってきた。


斉「寸止めありの一本勝負を始めます。
両者構えて 始め!」


合図があってもどちらともまだ動かない。


隙がない。

一歩でも踏み出せば逆にやられそうだ。


力では勝てるはずもない。

となれば作戦と素早さだ。


私は頭をフル回転させ作戦を考える。


たが、必勝となるものはない。

こうなれば一か八かだ。