「犬!?」 スミレちゃんの腕の中で眠っている白い小さな犬。マルチーズだっけ。 「うちで飼ってるんだけど、明日から一週間、田舎に帰ることになって。 それで渚に預けようと思ったんです」 「……そ、そっか」 それを聞き、頭の中で二人の会話の想像がついた。 『渚、かくかくしかじかなんだけど、お願いしていい?』 『いいよ。犬、“俺も好きだよ”』 『“本当? よかった!”』 ……こんな感じじゃなかろうか。