「智兄がいるから?」 「……そういうわけじゃ……」 「いい加減、兄貴離れしろよ!」 怒鳴るような考橋の声で体が震える。 「そういうわけだろ! 羽鳥は少しでもオレのこと、考えてくれたことあんの?」 考橋が一歩近づいてきてわたしは一歩下がる。 こんな考橋は初めてだ。 距離を一定に保っていないと考橋に気迫負けする。