自分の家なのに……。 リビングの前で大きく深呼吸をする。 ドアノブを持つ手が震える。 臆病な自分を自嘲しつつ、ドアを開けた。 「お、美紅ちゃん、かわいいし!」 パタパタとさつきがわたしの前に来る。 奥にはお兄ちゃんと……お兄ちゃんしかいない? ……遼は? 「さ、智くん、行こう!」 お兄ちゃんがニッコリ笑ってわたしの背中を押した。